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研究会報告

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「人的資本経営」確立に向け実践的対話技術の発表へ

人的資本経営におけるIC施策を検討中の本研究会では、効果測定部会とは別に、
対話COM部会で、実践的な対話コミュニケーションのプログラムの検討に入りました。

IC施策の中で対話コミュニケーション活動に注目したのは、
まず第1に「人材版伊藤レポート」の推奨施策の多くに「対話」ないしは
「対話・エンゲージメント」などの用語が多数登場する一方、
その具体的な方法が書かれていなかったからです。

研究活動のプロセスにおいて、それら対話コミュニケーションの具体策は
「IR関連行為」として一連の伊藤レポートの中で検討され、
IR関係者同士(企業と機関投資家など)の「専門的情報交換・評価/行動」として
位置づけられてきたと理解できます。

しかし「人材版伊藤レポート」の主目的は、経営戦略と人材戦略を連動させ、
経営戦略に効果的に対応する人事諸制度や能力開発・文化施策などを設定し、
従業員が自主的に企業価値創造に向けた活動を保証していくところにあったと考えられます。
肝心なのは、伊藤レポートにおける多様な施策を従業員が納得して積極的に
取り入れてもらうことですが、そのための効果的な「対話コミュニケーション施策」が
開発・導入されなければならないはずです。その方法論がレポートには欠落しているのです。

本研究会の「対話COM部会」では、まず対話の定義や仕組みなどを
専門書輪読などの方法で情報共有をするとともに、実践的な対話施策の開発に向け、
部会メンバー同士の対話による課題整理と実務的方策の検討に入りました。

そのことを検討するために、8月15日(水)夜、パーソル総研・研究者による
「職場でのコミュニケーションの現状」に関する大規模調査データの解説をしてもらいました。
その結果、確認できたのは「本音を話せない職場の人々多さ」でした。

お互いに不安や不信感をもつ同士が効果的な対話をすすめることはほとんど期待できません。
効果的に実施するためには、相互の対話を効果的にすすめるための
いくつかのプロセスを設定することがカギとなるはずです。

11月の研究発表大会では「実践的対話技法」について中間報告を行う予定です。

(清水正道:人的資本経営と効果的IC施策検討会・主査)