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研究会報告

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異文化経営学会九州部会と合同で開催 理事長から「新たな広報の定義」を報告、地域への浸透を

日本広報学会の九州部会は3月9日、設立3周年記念の研究会を福岡大学で開催した。
対面で20名、オンラインでは上海を含めて9名が参加した。

九州地区会員を中心とした同研究会が、
異文化経営学会の九州部会と合同で開催されるのは10回目となる。
私が2つの学会の九州部会長を拝命して以降、差別化よりも相乗効果を狙い、
合同の研究会を開催してきた。研究会の内容は、3~4名の報告と招聘講演で構成。
講師は地元で活躍し、九州の未来に勇気を与える方に依頼してきた。
終了後の懇親会はネットワークづくりの好機と考え、新規の入会希望の発掘を図っている。

■「新たな広報の定義」を報告

今回は、異文化経営学会会長出席のもと、日本広報学会理事長も参加され
「新たな広報の定義」を報告。全国への普及促進を訴えた。

■4つの報告と招聘講演

◎第一報告「『統合戦略』の観点から、日本企業の中国事業展開に関する考察」
・報告者:劉慶紅 (慶應義塾大学大学院経営管理研究科(KBS) 教授)
◎第二報告「新たな広報の定義」
・報告者:柴山慎一(社会構想大学院大学 教授、日本広報学会 理事長)
◎第三報告「万葉集にみるコミュニケーション~広報的視野から~」
・報告者:太田民夫(元東海大学経営学部 教授)
◎第四報告「国際広報と翻訳」
・報告者:安部由紀子(慶応義塾大学国際センター講師)
◎記念講演 『アジアと結ぶ地方創生~少子化時代における大学の役割と未来』
・講演者:今村正治(佐賀女子短期大学学長)


■今年は対面により4名が報告

第一報告では、異文化経営学会の研究助成金を得た、KBSの劉慶紅教授が登壇。
日中間のビジネスの変遷を政治・倫理・哲学など非市場という側面から分析し、
中国事業展開の方向性を考察した。

第二報告では、創立30周年を迎える日本広報学会の柴山慎一理事長が報告。
過去に取り組んでも達成できなかった「広報の定義」を
学会としての共通見解にまとめて発表した。
現代社会に対する理解促進への意気込みが感じられた。

第三報告は、万葉集の歌の中に広報戦略があったという
大胆な発想をもととした発表で、興味深かった。

また第四報告は外国語の翻訳と広報に焦点を当て、
「国の文化等を背景にその真意を伝えることができているか」と問題提起。
広報の問題ではあるが、異文化理解が必要不可欠という実務を通じての視点は、
二つの学会に共通する内容だった。

■大学あっての自治体を説く

続いて招聘講演は、少子化時代における大学の役割と未来についての内容だった。
地方の大学は地方を創生させるためにあるべきという考えには私も納得した。

教員や介護士などの人材や観光政策も、
資格取得を含めその担当者を生み出す大学が県内にあってこそで、
学生を県外に送り出すばかりでは、
自治体運営も教育も福祉もできなくなるという警鐘でもあった。

全国で定員未達による閉鎖が進む中、佐賀県に近い韓国をテーマにした学科の新設、
さらには男女共学4年制大学「武雄アジア大学」構想は
地に足をつけた取り組みでワクワクするものだった。

・日本広報学会九州部会 部会長 小野豊和
日本広報学会:
(1)経営体の広報およびコミュニケーション活動全般の理論としての体系化 
(2)社会に開かれた経営体のあるべき姿の展開技法の確立 
(3)国際社会に通用する広報マインドの醸成 
以上3点を目標に1995年に設立。
 
*この異文化経営学会との合同研究会は、『広報会議』6月号P102に掲載されました。

(九州部会 部会長 小野豊和)