学会の活動
研究会報告
概要Outline
広報部門における生成AIの導入率は37.2%
国内広報部門における生成AIの導入や活用実態を調査
日本広報学会「生成AIを活用した広報研究会」は、広報部門における生成AIの導入および活用実態を明らかにするため、「広報における生成AIの活用実態調査」を実施しました。調査は、国内の広報部門担当者や広報代理業従事者をはじめとする広報関係者を対象とし、121社の回答を得ています。
その結果、国内広報部門での生成AI導入率は37.2%であることがわかりました。特に資本金1億円以上の企業では44.8%と高く、1億円未満の企業では31.6%と格差が見られました。生成AIを利用している業務は「コピーやタイトルの案だし」と「記事要約や情報収集」が62.2%と同率で1位でした。
今後、広報という組織の戦略的コミュニケーションを担う部門で、生成AIがどの程度導入され、どのような課題があるかを調査するため、デプスインタビュー(詳細インタビュー)や定点のアンケートを実施し、学会報告などで成果を発表する予定です。
調査概要
- 目的 国内の広報部門における生成AIの導入および活用実態の把握
- 期間 2024年10月12日~2024年11月11日
- 対象者 日本国内の企業・団体の広報担当者・管理職、広報代理業従事者、広報学研究者
- 方法 インターネット調査(Google Form)
- 回答数 128件(うち有効回答121件)
- 研究主体 日本広報学会「生成AIを活用した広報研究会」(主査:雨宮 徳左衛門 プラップノード株式会社)
主な調査結果
1.広報部門における生成AIの導入率は37.2%
導入率は、資本金1億円以上の企業は44.8%、1億円未満の企業は31.6%、平均が37.2%で、企業規模が小さいほど導入率が低い結果になりました。
2. 生成AIの活用業務トップは「コピー案出し」と「記事要約・情報収集」
主な活用業務は、「コピーやタイトルの案出し」(62.2%)、「記事要約や情報収集」(62.2%)で、「企画の壁打ち」(55.6%)「プレスリリース類の作成」(46.7%)も上位にランクインしました。
一方、利用ニーズは「創造性の補助」(55.3%)がもっとも大きな割合を占め、「事務作業の補助」(20.8%)、「調査・情報収集の補助」(19.8%)が続きました。
広報部の人数で利用ニーズが異なる傾向をみせ、一人広報の企業では72.5%が「創造性の補助」として活用しています。
3. 広報業務における、生成AIの生産性向上の寄与は高い
10段階で評価した生産性向上度の平均は「7」近く、広報業務における生産性向上が実感されていることがわかりました。
また、人数の少ない広報部ほど、生成AIの生産性への貢献を高く評価する傾向がありました。
4. 生成AI活用における課題
生成AIの導入や定着に際して、情報の「正確性」への懸念がもっとも高く52.1%、その後「機密性」(44.6%)、「知財侵害」(43.8%)、「リードする人材不足」(41.3%)と続きました。金銭的なコストや低い意欲などは相対的に低く、利用時の内容についての懸念が多くみられました。