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3月情報流通構造の事例研究会活動報告

炎上のメカニズムとアルゴリズムをテーマに投稿や批判が拡大する事象を議論した。
批判が拡大し、炎上が連鎖する現象において、
アルゴリズムが果たす役割は非常に重要と考えている。

特にソーシャルメディアプラットフォーム上での炎上事例では、
アルゴリズムがいくつかの鍵となる方法で関連していると思われる。

【アルゴリズムの関与】

(1)拡散の加速:

ソーシャルメディアのアルゴリズムは、
ユーザーの興味や過去の行動履歴に基づいてコンテンツを推薦している。
このメカニズムが、批判的な内容や炎上している話題を
急速に拡散させることにつながります。
ユーザーが炎上内容に関与するほど、
同様の内容がさらに多くのユーザーに推薦される。

(2)エコーチェンバーの形成:

同じ意見や価値観を持つユーザー同士が、
アルゴリズムによって結びつけられている。
この「エコーチェンバー」現象により、特定の批判や意見が強化され、
多様な視点が排除されてしまう。
これにより、炎上がさらに過熱する原因となっている。

(3)感情的な反応の強化:

ソーシャルメディアのアルゴリズムは、
感情的な反応を引き出すコンテンツを優先的に表示する傾向がある。

批判や怒りなどの感情的な反応を促す投稿は、
より多くのエンゲージメント(「いいね!」やコメント、シェア)を生み出しやすいため、
アルゴリズムによってさらに広められていく。

(4)速報性と反応の即時性:

アルゴリズムによって最新の話題やトレンドが優先されるため、
批判や炎上内容が非常に迅速に広まる環境が作り出される。

これにより、企業や個人が適切に対応する前に、問題が大規模化する。
アルゴリズムを検証する際の指標として提案してみたい。

【炎上のメカニズムと拡散の指標】

横軸を経過時間、縦軸を批判投稿の数量と見立てて、
縦軸と横軸を結んだ際の角度が高い場合は
「短時間で批判集中」と読み取ることができます。

角度の高さでその後の炎上拡散を測ることは可能といるか?
経過時間と批判投稿の数量から角度を測る方法は、
炎上の初期段階での拡散速度を示す一つの指標として役立ちますが、
これらの複雑な要素を全て考慮に入れた上で、
炎上の将来的な展開を予測することが重要。

この指標を用いる場合でも、定量的なデータに加えて、
質的な分析を行うことが炎上管理には欠かせない。

(田代 順)